- ANIMA -
「ANIMA」はイタリア語では『魂』を意味し、「ANIMATO」は音楽用語で『元気に速い』『生き生きと』を意味する単語で、楽曲「ANIMA」と言うタイトルには、その両者の“考え”や“思い”が込められています。
受賞歴
2013年 ウィーンコンチェルトハウス100周年作曲賞最優秀作品賞(オーケストラ部門)
「ANIMA」の特徴
「ANIMA」を作曲するに当たり、頭にぼんやりとイメージした事は「宇宙での恒星誕生時に、宇宙空間を漂うガスやチリが一点に向かい集中し収縮し、高密度となった瞬間に膨大なエネルギーを発する様子」です。
「ANIMA」では、そんな宇宙で起こる出来事を、“1つの音”を“焦点”として構築する事により、全ての楽器から奏でられる音に方向性とスピードを与え、高密度に集中していく中で魂がエネルギーを蓄えて行く様を表現ししています。
そして、そのエネルギー極限まで達し、最大エネルギーとして爆発・放出される様子を、“1つの音”へと集まったオーケストラ全体の音を爆発・拡散させる事で成立させています。
「ANIMA」に込められた狙い
オーケストラ全体を宇宙に散らばった音と仮定させる事で、バラバラに飛散した「魂」が1点に集中していく中で「音の方向性」を得る事になり、その結果、曲全体に一定の方向性が生まれ、聞き手にとって有りがちな「現代音楽は理解が難しい」と言う課題にも挑戦しました。
また、「ANIMA」最大の狙いは、“音に機能を持たせない”よう意図的に仕込む事で、宙に音が無作為に散らばっている様子からの方向性を際立たせ、“1音に向かっての集中”が限界に達した時のエネルギー開放に“破壊力”と“インパクト”が強く残るようにしています。
観賞ポイント
全てのオーケストラ演奏者から生み出される音としてのエネルギーが、1点に向かって集中し積み重なっていき、そして解放される事で、聞き手1人1人のANIMA(魂・精神)も同時に音に吸い込まれ解放される“震え”を感じ取って頂ければと思います。
作曲エピソード
「ANIMA」を作曲中、西村朗先生より「最近、君は石を投げて何かにぶつけているか?」と言う質問を頂きました。
その当時(作曲当時)の私は、音楽に没頭する余り、自宅に籠り、ただ一心不乱に作曲に向かうばかりで、作曲家として生命線とも言える『音に対する鋭さ』が完全に欠落していた事を、先生は見抜かれたのでしょう。
そして、先生の「石を投げて何かにぶつけているか?」と言う一言を期に、もう一度、“石を投げて返ってくる1つの音にも意味を与える”と言う事に原点に戻り、作曲途中であった「ANIMA」の1音1音に対して魂を与え、全面渡り書き直しをする事で楽曲として発表する事ができました。
「ANIMA」の音楽的要素
「ANIMA」は以下の3部から成ります。
第1部:この曲は方向性を持たない断片的なフレーズから始まります。徐々にソリストが曲を誘導して、オーケストラ全体をE♭の音へ集積していきます。
第2部:ソリストの集合体で作られた、協奏曲のような構成になっています。時おり、全楽器のユニゾンによる力強い旋律線を形成し、音楽の方向性、骨格を作っていきます。
第3部:1本の長い旋律線を中心に、音楽はゆったりと変容していきます。
演奏場所
ウィーンコンチェルトハウス(オーストリア)
⇒ http://konzerthaus.at
指揮者
Cornelius Meister
⇒ http://www.kdschmid.de/artistdetail/items/cornelius-meister.html
演奏者
ウィーン放送交響楽団 Radio-Symphonieorchester Wien
⇒ http://rso.orf.at/start
楽器・構成
オーケストラ
- 2 Flutes(⇔2Piccolos)
- 2 Oboes
- 2 Clarinets in B♭(2rd.Bass Clarinet in B♭)
- 2 Bassoons
- 4 Horns in F
- 2 Trumpets in B♭
- 2 Trombones
- 1 Tuba
- Percussions(4 players)
- Strings
EDGE 概要
作曲家の登竜門である「音楽情報第80回日本音楽コンクール」で2位入賞を果たした「EDGE」は、「静寂の中に突如として現れる激しい音の可能性」を体験して頂きたい一曲です。
曲は二部構成から成り、音楽が1つの音から次の音へ移行する瞬間のEdge(鋭さ、端)をメインテーマとして掲げた作品でも有り、音の一片一片が「鋭い破片となり集積していく様」をイメージして頂ければ幸いです。
Flow 概要
「第81回日本音楽コンクール」2位入賞となった「Flow」は、変化する音のFlow(流れ)を、オーケストラとして表現するために作曲された楽曲です。
「無数の短い音の線」が集積していく過程で、様々な形へと変化し表情を持ち始め、変わりゆく表情は音に流れを持たせ、寄せては返す音の流れに耳を傾けて頂けると幸いです。